営業のノルマが辛いなあ…。コーヒー飲みながらオフィスで働きたいなあ…。そんな思いからバックオフィスへの転職を考える人は多い。そこで一念発起して勉強、簿記やMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)を取得して転職を志す人は多い。でもこれ結構な割合で失敗する。今日は一企業の人事担当者の立場から、どうして資格を取得しても未経験だと転職が難しいのか、どうしたら事務職に転職できるのかを解説する。
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バックオフィス(事務職)への転職を希望する人は山ほどいる
多様性なんて言われているけど、多くの社会人は同じ悩みを抱えていて、同じことを考えている。社会の荒波に揉まれて世間の厳しさを一通り経験すると、人は少しでも楽な方(事務職)へ流れようとするんだ。
まあ自分は荒波に揉まれる前からすでに楽な道を探していたわけなんだけど。というわけで事務職へ転職を希望する人は山ほどいる。もちろん、そのために資格を取得して臨む人もたくさんいる。
バックオフィス(事務職)の募集は少ない
転職希望者がたくさんいるのは先に書いた通りなんだけど、営業部門や生産部門と比較して会社のコーポレート機能を担うバックオフィス(事務職)に関連する部門(総務・経理・人事等の部門)は必要な人員数が圧倒的に少ない。
特に最近は、RPAやらDXやらの言葉が流行っていたり、会計システムや人事システムのCMを良く見かけることからわかるように、間接部門のスリム化が急速に進んでいるんだ。
少ない募集に多くの求人が殺到する。これがバックオフィス(事務職)への転職の難易度が高い理由なんだ。
企業は即戦力が欲しい
企業がバックオフィスの中途採用求人を出すとき、それは緊急性が高い場合が多い。人事や経理、法務といった職種はいわゆる専門職に近いため、一定の期間、業務を経験しないと企業の戦力になることはできない。その時間を待っていられないから、企業は求人を出す。
つまり企業がバックオフィスの求人を出す場合、退職してしまった主力の穴を埋めるために求人を出すことが多い。当然、即戦力になる経験者を期待している。これが未経験者の転職が難しい最大の理由。いくら資格を取得したとしても、経験者と未経験者の間を埋めるほどのスキルにはならない。
職種未経験者なら新卒を採用する
もし企業に未経験者を採用して教育する時間的な余裕があるなら、中途採用ではなく新卒か第二新卒の学生を採用する。その方がポテンシャルの高い人材を採用できる可能性が大きいし、他の会社に染まっていない分、企業側も教育しやすい。何より採用コストが安い。
転職エージェントの紹介手数料は高い
多くの転職希望者は転職エージェントに登録して転職活動する。エージェントを介して採用した場合、企業は採用した人の初年度報酬額の30%~40%の紹介報酬額をエージェントに支払うのが相場だ。これだけの紹介手数料を払ってまで未経験者を採用するメリットが企業にはない。
未経験者がバックオフィス(事務職)に転職する戦略
未経験者がバックオフィス(事務職)に転職するのが難しいことはわかったと思う。それでもどうしても諦めたくない人にとってどんな戦略があるのか具体的に考えてみた。
企業内での異動を目指す
最もリスクが低い方法は社内でバックオフィスへの異動を目指すことだ。企業としても新しく人を採用するよりはずっとハードルが低い。強く異動願いを出してアピールしておけば、運よくポストが空いた際に異動できるかもしれない。もちろん、異動できるかどうかはタイミングや会社の方針に左右される。近いうちに空きがでそうか、過去にそういった事例があるかを確認してみる必要はある。
ただバックオフィスで働くことが目的なら転職活動する前に社内で異動が出来ないか検討する価値は大いにある。
人手の必要な零細企業に入社して一度経験を積む
社内異動の可能性がないなら、やはり転職活動をするしかない。そしてある程度の待遇が確保されている募集はやはり経験者で埋まっていく。その際、事業規模の小さい零細企業まで含めて見てみる。おそらく給料は安いし、労働時間も長いかもしれない。でもそういった条件の悪い求人はみんな敬遠するから、未経験でも採用される可能性は高い。
重要なのは必要な職務経験を積めるかどうかを見極めること。蓋を開けてみたら雑務ばっかりということになったら目も当てられない。こういった求人にはハイクラスの求人と違ってしっかりした転職エージェントがつかないので中々情報が入ってこない。求人内容と実状が全く異なる…なんてこともあり得る。
面接の際に業務内容をしっかりと質問するのもちろん、会社の口コミサイトを調べるなりして慎重に見極める必要がある。
難関資格を取得しての転職活動はおすすめしない
一番おすすめしないのは難関資格を取得して一発逆転の転職を目指す方法。ここでいう難関資格とは税理士とか社会保険労務士くらいの資格を指す。これらの難関資格を取得するには1年以上の勉強時間が必要な上、いつ合格できるかどうかもわからない。そして勉強している間に未経験者にとっては何より重要な”若さ”を消費してしまう。未経験者の場合、年齢は転職の難易度にそのまま比例する。勉強すること自体は否定しないけど、「この資格を取ったら転職活動しよう。」なんて悠長なことを考えている余裕はない。
ちなみにすでにバックオフィスで働いていて関連する難関資格を取得するのは自身の市場価値を上げるのにはとても有効な戦略だと思う。
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