3月は企業の採用情報が解禁され、採用選考が本格的にスタートする。どこかの誰かさんはこの時期、卒業に必要な残りの単位に愕然として、就活どころではなかったが、普通の大学3年生にとっては最も気が引き締まる時期だ。
すでに今後のキャリアプランがある程度決まっているならいいが、まだそこまで決めきれない人がほとんどだと思う。そんな人には事務職(バックオフィス)を一つの選択肢として考えるのをお勧めする。
とうことで今回は将来のキャリアプランが定まっていない就活生向けになぜ事務職(バックオフィス)として働くのがお勧めなのかを解説する。
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キャリアプランが決まっているならゴールから逆算する
もし就活時点で最終的にどういう自分になりたいかが決まっているのならゴールから逆算して就職する会社・職種を決めればいい。
例えば将来フリーランスとして独立したいなら、独立のハードルが低いスキルが身に付く仕事を任せてもらえる職種を軸に就活すればいい。起業して経営者になりたいなら、若い内から新規事業を任せてもらえる起業を軸に就活すればいいし、優秀なマーケターとしてのし上がっていきたいならマーケティング職として採用を行なっている企業に応募すればいい。
キャリアプランがある程度明確に決まっているなら、最終的に思い描く理想の自分に到達するために必要な道筋を考えて、そのスタートとして会社選びをすれば良いと思う。
新卒カードの価値をよく考える
とはいえ大学卒業時点でそこまで考えることができる人は稀だ。ほとんどの人はある程度、社会に出て働いた上で徐々に自分自身の仕事に対する考え方や価値観を形成していくものと思う。漠然と興味のある業界を中心に大企業・有名企業から順番に受けて行って、最終的に内定の出た会社から一番規模の大きい会社・待遇のいい会社に就職する。そんな人がほとんどではないだろうか。
だが、そのような安易な考え方で新卒カードを切ってしまうと、10年後に後悔する可能性が高い。新卒はポテンシャル採用といって何のスキルも持っていないにも関わらず、ありとあらゆる企業・職種に応募することができる最初で最後の機会だ。キャリアが明確に描けないなりにもう一歩踏み込んで考えた上で就職活動した方がいい。
大学受験と就職活動は全く異なる
大学受験のときはとにかく学力を上げること、勉強することが最優先。特にやりたいことが決まっていないのであれば、自身の学力で入れる一番偏差値の高い大学に入り、学部は漠然と興味のある分野を選択する。大学を卒業して10年以上たった今、この考え方は間違っていなかったと言える。一部の専門職を除けば大学に入ってから学部と全く関係ない仕事に就くことは比較的可能だし、難関大学に入っておいた方が将来の選択肢は増える。
問題は多くの学生が就職活動を大学受験と同様に捉えていることだ。大学受験と就職活動は異なる。就職難易度の高い企業やプライム市場に上場している大企業に就職することが正解と言えるほど単純な話ではない。
就職するということは手持ちの選択肢から一つに絞るという行為
多くの人は自分がやりたいことが何かを決めることが出来ずにここまで来た。だから今までは将来本当にやりたいことが見つかった時にその選択肢を選べるよう選択肢を増やしておくという決断の先送りを行ってきたんだ。そして就職するということはその選択肢から一つに絞るという行為に等しい。
やりたいことが決まっていないなら食いっぱぐれのない仕事を選ぶ
そうは言っても選択できない、何かを決めることが出来ないという人は多い。そんな人は何を軸に就職活動をすれば良いのか。
答えの一つとして食いっぱぐれないスキルを身につけることを一つの回答としたい。変化の激しいこの時代、どれだけ今調子のいい会社だって将来倒産する可能性はある。また入社してから、人間関係や家庭環境で今の会社を辞めたいと思う日が来るかもしれない。そんな時に自分を受けて入れてくれる会社が見つかるかどうかは、その時点で持っているスキル次第だ。それこそやりたいことがないなら将来取れる選択肢を増やしておくべきだ。
これも半ば決断の先送りになってしまうかもしれないが、仕方がない。やりたいことが決まっていないのだから。
事務職(バックオフィス)は汎用性が高い
それじゃあ、食いっぱぐれのないスキルって何という話になるが、事務職(バックオフィス)で働くという選択、いわゆるコーポレート人材を目指すというキャリアを推したい。
コーポレート人材とは
コーポレート人材とは企業の人事•総務•経理などの管理部門で業務に従事する人材だ。これらの職種はどんな企業にも存在し、経営陣との距離も近い。
事務職は無くならない
事務職は将来、人工知能やロボットの技術が発展していくと、いずれなくなる仕事ではないかと思う人もいるかもしれないが、それはあくまで書類作成のサポート業務などを行う一般職の話。総合職と一般職の違いやどうして事務系総合職の仕事がなくならないかは下記を参照してほしい。
事務職(バックオフィス)は転職しやすい
企業のコーポレート機能は業界や企業の規模によって多少の違いはあれど、本質的には同じである。これは転職が容易なことを意味する。製造業の技術職、例えば建設会社の施工管理のような業務は業界内でしか通用しない技術だが、経理の実務経験は業界を超えて汎用的に使えるスキルだ。ある業界で働いていて、技術革新により市況が厳しいから、その時代のトレンドにあった活況な業界へ転職するなんてことが事務職(バックオフィス)であれば可能なのだ。これが事務職(バックオフィス)の業務経験は汎用性が高いと考える最大の理由。
事務職(バックオフィス)の求人検索の仕方
新卒で事務職(バックオフィス)の求人を探すにはちょっとしたコツがいる。募集職種に事務系総合職だとか、総合職(事務系)のように記載されていればわかりやすいが、単に総合職としか書かれていない企業も多い。
そんな時は建設業やインフラ事業など営業活動を行うにあたって深い技術に対する理解が必要とされる業界が狙い目。また理系総合職に対して文系総合職の募集人員が極端に少ない場合も、営業は技術職が行なっている可能性が高いためコーポレート部門に配属される可能性が高い。ある程度当たりをつけて入社後の配属先を企業説明会で確認するのが良いだろう。入社後のミスマッチを恐れてこの辺りは人事担当者も正直に教えてくれることが多い。
文系就活生の採用枠は7割が営業
文系新卒学生の採用職種はほとんどが営業職だ。理系と違って文系の学業は専攻の学問が仕事に直結することはほとんどない。必要な知識が少なく、企業の利益に貢献できるうようになるまでの時間が短く、それでいて一定以上の人員を必要とするのが営業職だからだ。対して事務職の募集はかなり少ない。これは一つの企業に対して必要とする人員が営業職よりも圧倒的に少ないことによる。また、業務ができるようになるまで人材が育つのに時間が掛かるから、新卒採用の募集はせずにキャリア採用で賄う企業も多い。
新卒で事務職(バックオフィス)に採用されるのは難しい
実際のところ、新卒で事務職(バックオフィス)に採用されるのは結構難しい。先述した通り、募集人数がとても少ないのだ。(当然、業務未経験で中途採用されるのはそれ以上にハードルが高い。)ただし一度入社して配属されさえすれば、汎用的なスキルを身に付けることができ、その後の転職も容易だ。大卒の新卒カードを切るに値する価値があると思う。
事務職(バックオフィス)で働くという選択肢があることを知った上で後悔のない就職活動をしてほしい。
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