2019年に金融庁の報告書が発端となって老後2,000万円問題が話題になった。そうでなくても多くの人が老後に不安を抱え、積立NISAを始めたなんて声をちらほらきくようになった。
そんな中で資産形成に向けて多くの人が何よりもまずやるべきなのが確定拠出年金なんだ。この制度、メリットの大きさの割には意外と話題にならない。
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確定拠出年金とは?
確定拠出年金(DC)とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度。
将来の給付額があらかじめ定められている確定給付型企業年金は運用先の選択は企業等が行い、リーマンショックの破綻を契機にその多くが破綻してしまった。これに対して確定拠出年金は自身で拠出額を決定し、自身で運用先(金融商品)を選択する。
何がそんなにおいしいのか?
拠出額が全額所得控除になる。例えば、個人型確定拠出年金(iDeCo)を月上限2万3千円行うと年間の課税所得が330万〜約700万円までの人なら27万6千円(2万3千×12ヶ月)の所得税額20%が年末調整(あるいは確定申告)時に還付される。当然、所得がもっと大きい人であればそれ以上の恩恵にあずかることができる。
投資先の商品には定期預金という選択肢も存在するため、元本割れのリスクを回避することも可能。
年利5%程度の運用成績が実現できれば優秀と言われる投資の世界において、確実に20%以上の運用利回りを実現できる投資は他にない。投資を始めたいならば、何よりもまず確定拠出年金を最初に始めるべき。
デメリットは主に2つ
確定拠出年金にはデメリットも存在する。
原則60歳まで引き出すことができない。
確定拠出年金は老後の資産形成のインセンティブとして国が推奨している制度。国民全員が持っているお金をあるだけ使って、働けない年齢になったら生活保護に頼ればいいやと考え始めたらたら財政がパンクする。
それを防ぐことを目的としてこのような制度を推進しているから、よほどのことがない限り60歳までこのお金は自由に使うことができないんだ。
ただ、60歳前に死亡したとしても、遺族が死亡一時金として受け取ることができるから拠出した掛け金が無駄になることはない。
日々生活するのに精一杯で掛け金を捻出するのも苦しい人や若い内は享楽的に生きて老後の生活は考えないと覚悟を決めた人以外にはデメリットにはならないだろう。貯金しててもどうせ死に金になるし。
出口戦略を考える必要がある
一番重要なのは出口戦略なんだ。確定拠出年金は60歳以降、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類の方法で受け取ることができる。確定拠出年金は掛け金は全額所得控除の対象になるし、運用益も全額非課税となる。
ただ給付時には税金が掛かる場合がある。一時金として受け取る場合は退職所得、年金として受け取る場合は雑所得扱いとなる。
まずは自分の会社の制度を確認しよう
確定拠出年金を始めるべきなのはわかった。ではまず何から取り掛かればいいのか。まずは自身の会社に企業型確定拠出年金の制度があるかを確認しよう。
会社によっては福利厚生によって企業型確定拠出年金(企業型DC)を採用している。これは確定拠出年金の掛け金を企業が給与天引きして納付してくれる制度。
以下の2つが共通のメリットとして存在する。
- 確定拠出年金を行う上で必要な口座管理手数料を企業が負担してくれる
- 掛け金の上限額が個人型確定拠出年金(iDeCo)よりも大きい(iDeco:23,000円、企業型:55,000円)
企業型DCには企業が掛け金を負担してくれる上、従業員が掛け金を追加で拠出することができるマッチング拠出や掛け金が非課税になるのに加えて、社会保険料も控除対象になる選択型DCなどの種類がある。いずれにしても個人型確定拠出年金(iDeCo)よりもメリットが大きいのでまずは自分の会社の制度を確認しよう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度が会社にある場合
企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度が会社にある場合、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入しよう。
加入を強制している企業もあれば、選択制にしている企業もある。いずれにしろ、個人型確定拠出年金(iDeCo)よりもメリットが大きい。
企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度が会社にない場合
企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度が会社にない場合、個人型確定拠出年金(iDeCo)を始めよう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の始めた方は以下で詳しく解説している。
掛け金額はいくらに設定すれば良い?
よくある質問で掛け金額はいくらで始めれば良いかというものがある。この答えはズバリ「上限金額いっぱい」である。先に書いた通り、20%以上の年利を確実に得られる投資先は他にない。拠出した金額は60歳まで引き出せないから、ある程度、生活に必要な資金を手元に残すのは前提になるけど、NISAとか他の投資よりも優先順位は高い。
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